
この記事はこんな方にオススメ!
・自分の予想が当たらなかった理由を分析したい
・次走の狙い馬を見つけたい
・競馬予想を本気で極めたい
レース概要


3歳マイル王を決める春の大一番であるNHKマイルカップ。クラシック路線からの転戦組、マイルで才能を開花させた新星まで、多彩なメンバーが集うこの一戦は、年によって主役が大きく変わる波乱含みのG1としても知られています。
東京芝1600mで行われるこの舞台に、今年も世代屈指の快速馬たちが一堂に会しました。
レース
今年のNHKマイルカップは、事前の予想を大きく裏切る「異例のハイペース戦」となりました。
私は、「逃げ馬不在」「距離延長組にスプリント型の馬がいない」という事前分析から、スローペースの決着が濃厚と見ていました。しかし、蓋を開けてみれば全く違う展開が待っていました。
ヴーレヴーがハナに立ったのが600mを過ぎたあたりでした。前半600mは33秒4。続く800mも44秒6と、過去10年で最速というハイペースでの通過です。
人気馬のアドマイヤズームやイミグラントソングも、前に位置取って追走しましたが直線では伸びを失いました。
一方で、後方からじっくり脚を溜めていたマジックサンズは、直線でその末脚を発揮。
馬群の中からはチェルビアット、外からはモンドデラモーレ、パンジャタワーが、ゴール前はまさに横一線の大接戦に。
最終的に、パンジャタワーがわずかに抜け出して優勝。アタマ差の2着にマジックサンズ、さらにハナ差の3着にチェルビアットが入り、波乱の決着となりました。
人気を集めていたアドマイヤズームは超ハイペースに加え、スタート後の落鉄も影響してか、まさかの14着と大敗。
勝ち時計は1分31秒7の高速決着。このレースとしてはかなり速いタイムで、実質的にはスプリンター向きの適性が試された形です。
1着パンジャタワーの父タワーオブロンドン、3着チェルビアットの父ロードカナロアはスプリントG1馬です。2着マジックサンズは母コナブリュワーズが現役時代に芝1400m以下で4勝を挙げています。今回のレースでは「スプリンターの血」が勝負を分けたと言っていいでしょう。
私としては展開の読み違いが馬券にも直結することを痛感させられる一戦となりました…
この「異例のハイペース展開」をしっかり回顧して、今後の予想にしっかりつなげていきたいところです。
タワーオブロンドン初年度産駒からG1馬が誕生
タワーオブロンドンは、現役時代にスプリント戦線で活躍した名馬。とくに2019年のスプリンターズSで見せた末脚は今でもファンの記憶に鮮烈に残っています。そのスピードと切れ味をパンジャタワーがしっかりと受け継ぎ勝利しました。
初年度から結果を出したことで、今後の配合にもさらに注目が集まることは間違いありません。
種牡馬としての将来性はもちろん、「産駒の育成・適性分析」にも新たな視点を与えてくれる今回のG1制覇。この先、タワーオブロンドン産駒がどんな進化を遂げていくのか、ますます目が離せません。
上位馬の評価
1着 パンジャタワー
道中こそ無理について行かず、馬群の中団やや後方でじっくりと脚を溜める競馬。その判断が直線で見事に実を結びました。
コーナーで外に持ち出すと直線で鋭く伸びて一気に先頭に立ちます。まだゴールまで200mほどありましたが、そこからも脚色は衰えず、迫るライバルたちを振り切っての完勝。スピードだけでなく、最後まで抜かせない“底力”が光る内容でした。


母父にはドバイワールドカップや有馬記念を制したヴィクトワールピサ。
さらに牝系には名牝ソニンクの名前があり、NHKマイルカップで2着に好走したソングラインとも親戚にあります。
また、血統表にはヌレイエフ×サドラーズウェルズという、重厚なニアリークロスも。これが今回の直線での粘りにつながったと考えられます。松山騎手の追い出すタイミングも絶妙でしたね。
ただし、今回は展開の後押しがあったのも事実。速い流れの中で上手く脚を溜めることができたのが勝因のひとつです。今後は、マイルでは距離がやや長くなる可能性もあり、父タワーオブロンドンと同じようにスプリント路線へと進む選択肢が濃厚です。
G1級のスピードと血統に裏打ちされた底力。成長とともに適性がどの方向へ広がるのか、今後の活躍も目が離せません。
2着 マジックサンズ
惜しくも2着となったマジックサンズ。武豊騎手の見事なエスコートが光る一戦でしたが、あと一歩届かずの悔しい結果となりました。
とはいえ、今回のようなハイペースの展開で、後方待機から馬群を縫うように内を突く戦法は、一歩間違えれば何もできずに終わるリスクも高いもの。
それを見事に捌いて、最後の直線でしっかり脚を伸ばしたあたりは、武豊騎手の技術とそれに応えるマジックサンズの力があってこそ。大外を回して届くような展開ではなかっただけに、この判断があってこその2着です。


母コナブリュワーズは芝1400m以下で4勝を挙げたスピード馬。その母系にはNHKマイルカップと相性の良いフレンチデピュティの名も見られますが、全体としては中距離に適性を感じる構成です。
苦手なことが少ないタイプではありますが、本質はタフさと持続力を活かしたいタイプと言えるでしょう。
マジックサンズについては陣営から、今後もマイル路線を視野に入れていく方針がすでに示されています。
今回のレースでは「戦法がハマった」と見る向きもありますが、直線で見せる鋭い末脚は世代トップクラスの能力です。
展開やコース次第で、次こそ頂点に立つ可能性は十分です。マイル路線とカテゴリーにしか言及をしていないだけに、海外挑戦も視野に入れているように感じます。
大きな舞台でのタイトル獲得を楽しみに待ちたいと思います。
3着 チェルビアット
今回のNHKマイルカップで波乱を演出したチェルビアット。YouTubeでも「注目の穴馬」として紹介していた1頭でしたが…まさか本当に馬券内に来るとは…笑


血統面では、母父にフレンチデピュティを持ち、これはいわゆるNHKマイルカップにおける「激走血統」。
さらに、近親にはこのレース大穴で激走したケイデンスコール(父ロードカナロア)がいます。“穴で走る血筋”とでも言うべき背景を持っていたわけです。
また、これまでの臨戦過程や過去のレース内容も今回の展開にマッチしていました。特にフィリーズレビューでは、ハイペースを追い込んで2着に好走した実績があり、今回のような速い流れでは真っ先に評価すべき1頭でした。…が、筆者はスローペース予想で思いっきり外してしまいました(泣)。
さらに注目すべきは血統構成。チェルビアットは、サンデーサイレンスの血を持たないロードカナロア産駒の牝馬です。このタイプで重賞連対実績を持つ馬は6頭、いずれも1400m以下で好成績を収めています。
そんな中でチェルビアットは、非サンデーサイレンスのロードカナロア牝馬として初めてG1で馬券圏内入りを果たしました。これは単なる展開利だけでなく、高いポテンシャルを持つ馬であることの証明でもあります。
晩成型として知られるロードカナロア産駒ですから、まだまだ成長の余地もあります。ビッグタイトル獲得へ向けて、今後も高い舞台で経験を積んでいってほしいですね。
- イベリス(京都牝馬S アーリントンC)
- ダンツエラン(アーリントンC)
- カレンモエ(京阪杯2着 函館スプリントS2着)
- ヤマカツマーメイド(フィリーズレビュー2着)
- チェルビアット(NHKマイルC3着 フィリーズレビュー2着)
- アンヴァル(CBC賞2着 北九州記念3着)
2歳王者アドマイヤズーム、まさかの14着大敗
ファンの大きな期待を背負って1番人気に支持された2歳王者・アドマイヤズームでしたが、結果はまさかの14着大敗。注目されていた中でのこの敗戦には、さまざまな要因が絡んでいました。
まず今回のレースは、前半600mが33秒4というハイペース。血統的には「中距離向きのマイラータイプ」と言えるアドマイヤズームにとって、この流れは明らかに不向きでした。
道中はやや行きたがる面を見せてしまい、結果的に前を追いかける形でスタミナを消耗してしまったのです。
さらに不運な出来事も重なりました。レース後、川田将雅騎手は「スタートから200〜300mのところで落鉄があった」とコメント。実際にパトロールビデオでも、直線で真っ直ぐ走れていない様子が確認できます。
騎手自身も「3コーナーで走りに異変を感じた」と語っており、馬のバランスに支障が出ていたことは間違いないでしょう。
とはいえ、落鉄の影響だけで14着という大敗にはなりません。序盤のペースに付き合ってしまったことが最大の敗因と見られます。まだ精神的に若い部分があり、レース全体を“自分の形”で走り切るだけの完成度には至っていない印象です。
それでも、能力そのものが疑われる内容ではありません。中距離寄りの血統背景を考えれば、本来は1600m~2000mくらいの距離で真価を発揮するタイプ。
焦らず、しかし距離短縮には安易に流れないでほしい。ファンとしてはそう願いたくなる敗戦でした。
次走狙い馬(ドーベル印)
4着 モンドデラモーレ
スプリンターに有利となった中でこれだけの結果を残せたことは、むしろ評価すべき内容だったと言えるでしょう。
血統はワールドエース×クロフネというバランスタイプ。配合だけを見ると、ジュンブロッサムを思い出す方も多いかもしれません。
ただ、より深掘ってみると、モンドデラモーレのほうが中距離寄りの構成となっていますので1800m以上を使って良さそうです。
今回は前走で1400m戦を使っていたこともあり、ある程度の対応力は見せました。しかし、それでも本質的にはスプリント寄りの流れは得意とは言えず、今回の4着はむしろ“適性外での健闘”といえるのではないでしょうか。
この先、マイル路線を中心にローテを考えていく可能性が高いと見られますが、個人的にはぜひ1800m~2000m戦へのチャレンジを見てみたい1頭です。今のうちから距離を伸ばして経験を積ませれば、中距離戦線で台頭してくる可能性も。
潜在能力の高さを改めて感じさせた一戦。条件が噛み合えば、一気に重賞タイトルまで手が届いても不思議ではありません。
16着 ショウナンザナドゥ
大敗という結果に終わりましたが、実際の内容を見る限り着順ほど負けてはいないという印象です。
道中無理に動かずしっかりと脚を溜める形で追走。直線では進路を外に持ち出し、タイミングを見て仕掛けていきました。しかし、結果的に内を突いた馬たちに展開が向き、外からの差し脚が届きにくい流れとなってしまいました。
さらに直線では他馬に挟まれる不利も発生。進路を失い、一度引く形になったことで勢いを完全に失い、そこからの再加速も叶わず。その点を考慮すれば、今回の16着は深く考えなくてよいでしょう。
適性としては、引き続き1600m以下の距離で期待できるタイプ。展開次第では重賞でも通用するポテンシャルを秘めていますし、巻き返しは十分可能です。
一度の凡走で評価を落とすには惜しい存在。次こそ条件がハマるレースで、改めて注目したい1頭です。
まとめ
今年のNHKマイルカップは、ハイペースによる激戦、そして人気馬の敗退と、まさに波乱含みの一戦となりました。ただ、そのぶん見応えも十分で、競馬の奥深さを改めて感じさせられるレースでもありました。
個人的には馬券こそ完敗でしたが、大切なのは結果をどう次に活かすか。レースを丁寧に振り返ることで、次の一戦に繋がるヒントが必ず見えてくると信じています。
また、パドック〜ゲートに入るまでを見ていて感じたのは、どの馬も発汗が多く見られたこと。春競馬の終盤を迎え、季節は確実に夏へと向かっています。これからのレースでは、気温や馬体のコンディションも注意が必要となっていきそうです。
これからの季節、出走馬たちには無事に走り抜けてくれることを第一に願いつつ、私たちファンも体調管理に気を配りながら、引き続き競馬を楽しんでいきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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