【ヴィクトリアマイル回顧】アスコリピチェーノが“歴史を変えた” ダイワメジャー牝駒、ついに古馬G1初制覇!

この記事はこんな方にオススメ!
・自分の予想が当たらなかった理由を分析したい
・次走の狙い馬を見つけたい
・競馬予想を本気で極めたい

目次

レース概要

G1ヴィクトリアマイルは、古馬牝馬にとっての春の大目標として設立され、これまでに多くの名牝がこのレースで輝かしい成績を収めてきました。

初回は、ダンスインザムードが勝利を収め、その後もウオッカ・ブエナビスタ・アーモンドアイ・グランアレグリアなど、歴史的な名馬たちが名を刻んでいます。特に、2014年にヴィルシーナが史上初の連覇を達成すると、レースの注目度をさらに高めました。

レース

大外枠からスタートを切ったアリスヴェリテが先手を取り、そのまま単騎でハナへ。これにアドマイヤマツリが2番手で続き、前半からしっかりとした隊列が形成されました。

人気上位のステレンボッシュはスタートを決めてインコースの中団を追走。一方、1番人気アスコリピチェーノは、後方から2番手という位置取り。果たして届くのか…そんな不安もよぎる展開でした。

直線に入ってもアリスヴェリテの脚色は衰えず、先頭のまま粘ります。超大穴の逃げ切りも見えたゴール寸前、鋭く追い込んできたのが、アスコリピチェーノ、クイーンズウォーク、シランケド、アルジーヌの4頭。

まさに横一線、最後はアスコリピチェーノがわずかに差し切り勝ちを決めました。2着はクイーンズウォーク、3着にはシランケド、4着のアルジーヌまでがタイム差なしという大接戦!

勝ち馬のアスコリピチェーノは、後方でしっかり脚を溜めたことで直線の末脚を爆発。さらに、クイーンズウォークともに外枠の利を活かし、馬場の綺麗なところをスムーズに進出できたことも好走の一因となりました。

今年も最大出力が結果に繋がった

ドーベルちゃんねるのYouTubeで過去の傾向として、「勝ち馬は、直近5走以内に“レース後半2F(最後の400m)を23秒0以内”で走破し、かつ連対以上の実績があった」というデータを紹介しました。

今年もこの条件を満たしていた馬たちが、大接戦を演じる結果となりました。

  • 1着:アスコリピチェーノ
  • 3着:シランケド
  • 4着:アルジーヌ

上記の3頭は、いずれも近走でトップスピードの質の高さを見せて好成績を収めていた馬たちです。東京芝1600mは、最後の直線が長く、確かな末脚がものを言うコース。

この傾向は来年以降も、予想を組み立てる上で大きなヒントとなる可能性が高いです。

上位馬の評価

1着 アスコリピチェーノ

古馬G1が勝てないダイワメジャー産駒」というジンクスを打ち破る鮮やかな勝利でした!ダイワメジャー産駒の牝馬として初の古馬G1制覇を成し遂げました。

アスコリピチェーノについては、「血統がレシステンシアとよく似ている」という話は、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。私自身も、そうした見解をこれまでに何度かご紹介してきました。

本来であれば底力が武器、「前でしぶとく粘る」競馬がベストだと思います。今回のように後方からの競馬では、本来の良さを出しきれないのではと胸がざわつきました。

しかし、そんな懸念をあっさりと吹き飛ばすような、圧倒的な末脚を見せつけての勝利。

これはもう、先入観にとらわれず、「アスコリピチェーノ」という1頭の競走馬として、個性を再評価すべきだと感じさせられる内容でした。

レシステンシアと似た血の流れを持ちながら、まったく異なる戦法で結果を出すこの馬は、ダイワメジャー産駒のなかでも例外的な存在と言えます。

今後アスコリピチェーノがどんな路線を選択するか非常に注目されます。スプリント〜マイル路線を極めるのか、それとも距離を延ばして別の可能性を模索するのか。どちらに進んでも、国内トップの地位は揺るがない存在と言えそうです。

2着 クイーンズウォーク

アスコリピチェーノが真後ろに構える中、仕掛けのタイミングが非常に難しい立ち位置となりました。その中で見せたクイーンズウォークと川田将雅騎手のコンビネーションは、まさに完璧だったと言えるでしょう。

川田騎手はクイーンズウォークの能力と特性を誰よりも理解している騎手。スムーズに進路を確保しつつ、アスコリピチェーノに外へ進路変更を強いる場面までつくったのは、さすがの一言。

それでも最後に差されてしまったのは…悔しい結果ではありますが、それだけアスコリピチェーノの末脚が際立っていたということ。これはもう、相手を称えるほかありません

直線ではアルジーヌとの接触もありながら、クイーンズウォークは怯まず、最後まで全力で走り切りました。そうした気持ちの強さ、勝負根性もこの馬の大きな魅力です。

これまでにもタフなレースで好走してきた実績があるだけに、今後は牝馬限定戦にとどまらず、牡馬相手のレースでも条件次第では好勝負を演じてくれるのではと期待せずにはいられません。

クイーンズウォークは、父キズナ×母系にボールドルーラー系の血を持つ血統構成。これは、ヴィクトリアマイルで過去に好走したソングライン・ファインルージュとよく似たパターンです。

直線でのスピード能力が求められるこのレースにおいて、これまでもそうした血統背景がプラスに働いてきたのは間違いありません。

クイーンズウォークもその例に漏れず、血統面での適性は今回のメンバーの中でも非常に高かった1頭です。実際、あの直線の追い比べで上位に食い込んだのは、そのスピードと持続力を備えた血統のなせる業と言えるでしょう。

3着 シランケド

レースは道中最後方という位置取り。直線では馬群のど真ん中を割って伸びてきました。本来狙っていたのはステレンボッシュの直後の進路だったようですが、思ったほど相手が伸びず、進路を切り替えざるを得ない状況に。

デムーロ騎手はレース後に「それ以上、外に出すと届かないと思い内を突いた」と語っていますが、まさにその判断が的確で、一瞬の判断で狭い馬群の中を突いてくる形となりました。

この好走は騎手の技術だけでなく、シランケドの勝負根性の証でもあります。もし展開がもう少し噛み合っていたなら、それ以上の着順もありえたと騎手に思わせる走りを見せました。

血統は実績が示すように中距離タイプです。そして祖母のビーフェアーは、ブラジルでG1を3勝した名牝。この血筋を受け継いでいることからも、2000m前後の舞台で注目していきたい。

今回は展開の恩恵があったとはいえ、それにきっちり応える力を見せた点は評価に値します。今後の重賞戦線でも、条件次第では十分に上位争いができそうです。

アスコリピチェーノに「成長力はない?」

アスコリピチェーノの血統を見ると、父はダイワメジャー、そして母系には名牝リッスンの血を引いています。一般的には「早熟」と見られることが多く、特にダイワメジャー産駒には、成長力に疑問符をつける声も少なくありません。

しかし、血統の中に含まれるノーザンテーストの影響を考えれば、必ずしも早く枯れるとは限らず、成長力を秘めているケースもあると言えます。

思い返せば、同じくダイワメジャー産駒で血統構成の似ているレシステンシアも、4歳の終わりには香港スプリントで2着、5歳春にはヴィクトリアマイルで3着と、G1戦線で存在感を示し続けました。たしかにG1勝利はありませんでしたが、だからといって「成長力がなかった」と断じるのは早計ではないでしょうか。

アスコリピチェーノもまた、年齢を重ねて上昇がないどころか、格の違いを見せつけています。ライバルたちも成長してくる中での戦いになるわけですが、それはあくまで相対的な話。

それなのに、この馬だけを見て「上積みがない」「成長力に欠ける」と評価するのは、木を見て森を見ずというものです。

今後、どのようなレースでどのような活躍を見せてくれるのか、引き続き注目していきたいところです。

次走狙い馬(ドーベル印)

4着 アルジーヌ

今回は後方勢が上位を占める、先行馬に厳しい流れとなりました。そんななかで、前目のポジションからしぶとく粘り込んだのがアルジーヌです。

アスコリピチェーノやクイーンズウォークのように、後方から末脚を伸ばすタイプとは違い、アルジーヌは「切れ味勝負」では分が悪いタイプ。それだけに、あのポジション取りは馬の特徴を最大限に活かした戦略だったと言えるでしょう。

直線では一瞬の不利もありましたが、怯まずしっかりと伸びて初のG1挑戦とは思えない堂々とした走りを披露。結果として4着という着順以上に、その内容には大きな価値がありました。

血統的には、父ロードカナロア×母父ディープインパクトという良血に加え、近親にはヴィクトリアマイルで3着に好走したレディアルバローザ、さらにロードヴァンドールロードレゼルといった中距離馬も揃っていて、母系からは1800m以上で真価を発揮できるタイプと見られます。

今回は展開も枠も決して有利とは言えませんでしたが、そんな中でもこれだけの競馬ができたという点で、今後の重賞戦線に向けて非常に高いポテンシャルを証明した一戦だったのではないでしょうか。

8着 ステレンボッシュ

レース前の大方の見立ては、「追走に苦しむのでは?」というものでした。しかし、フタを開けてみれば、ステレンボッシュはスタートをしっかり決め、インの中団から進める形となりました。

一見すると理想的なスタートを切れたようにも見えましたが、結果的にそれが向きませんでした。

この日は気温も高い予報で、馬場の回復が見込まれましたが、想定していたよりも内の伸びがいまひとつで、「外差し有利」な傾向がはっきりと表れていました。掲示板は4着アルジーヌ以外は外枠という結果でした。

終始、内を前目のポジションで立ち回ったステレンボッシュにとっては、馬場も展開も逆風の状況。それでも、勝ち馬のアスコリピチェーノから0.3秒差という結果は、決して負けていない内容だったと言えるでしょう。

そもそもマイルを主戦場としていない可能性も考慮すべきポイント。距離や展開、枠順といった複数の条件が不利に働くなかでも大きく崩れなかったことは、地力の証明でもあります。

現時点では牝馬同士の中でという見立てですが、まだまだ存在感を示してくる可能性は十分。引き続き、上位クラスの有力馬として注目しておきたい一頭です。

14着 マサノカナリア

この馬は本来、瞬発力勝負では分が悪いタイプ。そのため、外を回して直線勝負に持ち込む形は決して理想とは言えません。直線では外へ進路を取り、脚を伸ばそうとしたものの、前が開かず進路が塞がってしまう場面がありました。

道中のロスや舞台が合わず、自分の型に持ち込めなかったことで、このレースでは完全燃焼とはいかない内容となってしまったのです。

今回は不運が重なった形ですが、今後のレースで立ち回りや展開が噛み合えば、巻き返しの可能性は十分にあるでしょう。

まとめ

勝利を掴んだアスコリピチェーノは、まさに一枚上の実力を証明する走りを見せてくれました。ただ、それ以外の馬たちもそれぞれに見せ場があり、どの馬にもチャンスがあった混戦だったことは間違いありません。

今回のヴィクトリアマイルを通じて、改めて牝馬戦線の面白さを実感した方も多かったのではないでしょうか。

そして今後は、春のクラシック戦線を戦った3歳世代も古馬戦線に加わってくるタイミング。新たなスター候補が次々に登場し、牝馬路線はますます盛り上がっていくはずです。

これからも、魅力あふれる牝馬たちの戦いに注目していきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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